2021/12/29に楽天証券が投資信託の保有ポイントを継続的にもらえるものから1回こっきりしか貰えないものにすると発表がありました。運用は2022/4/1からになります。
アイエルはこの投資信託のポイントについて色々と見てきたので個人的な感想を記したいと思います。
追記:2022/2/1に追加の改悪アナウンスがありました。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の積立ポイント2022/9より1%から0.2%にダウンする(ついでにマネーブリッジの改悪もあり)ことになりました。
証券会社のポイントについて
証券会社が手数料を自由に決めることができるようになったのが1999年。それまでは証券会社の手数料は一律でした。またネット回線は常時接続のADSLが普及しだした頃で、それまではモデムを使って電話回線でインターネットをしている時代でした。(ソフトバンクがADSLの接続器を配っていたのが話題になっていましたねぇ)
その辺りからネットによる取引ができるようになり、ウィキペディアによるとSBI証券では1999年からインターネットによる注文ができるようになったとあります。
証券会社の手数料競争と共に投資とは縁のなかった若年層を取り込むためにポイントによる還元や投資ができるようになったようです。
ニュースイッチの下記URLにわかりやすい記事があります。
ちなみにクレカ積み立てでポイントが貰えるようになったのは2018年のtsumiki証券と楽天証券で比較的新しいサービスになります。
投資信託のポイント還元について
大きく分けると以下になります。
1.購入時に貰えるポイント
クレジットカード決済で投資信託を毎月購入したときに貰えるポイントで、楽天証券が月5万円まで購入すると楽天ポイントが1%還元されるのを皮切りに他社も同様な還元をするようになりました。
追記:2022/9より0.2%に引き下げられます
2.投資信託保有で貰えるポイント
投資信託を保有し続けたときに貰えるポイント還元で今回の楽天証券がここを変更しました。ご存知の方も多いと思いますが2021/8も保有ポイントを10万円につき一律4ポイントだったのを「みんな大好きeMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は3ポイントに引き下げ、更に1年持たせる事無く再変更しました。
楽天証券会社とSBI証券のポイント比較
庶民代表のアイエルの懐具合を基準にポイントを比較します。
クレジットカードでの積み立て購入(5万円)
楽天証券(楽天カード):500楽天ポイント
SBI証券(三井住友NL):250Vポイント
どちらも年会費無料のノーマルタイプで比較しました。
ただし、SBI証券ではVポイントで直接投資できない(2021/12/30現在)ので一度Tポイントかpontaポイントにする必要があります。この場合1Vポイントは0.8Tポイントまたは0.8pontaポイントになりますのでポイント再投資を前提にするならば、
楽天証券(楽天カード):500楽天ポイント
SBI証券(三井住友NL):200Tポイント (または200pontaポイント)
になります。
投資信託で貰えるポイント
楽天証券:継続的に貰えるポイントは0。1回だけ貰えるポイントは最大2080楽天ポイント(2000万円到達時)
SBI証券:最大年間0.25%のTポイントまたはpontaポイント。ただし銘柄によって違います。 eMAXIS Slim米国株式(S&P500)は0.0374%になります。
SBI証券の投信マイレージは下記リンク参照
投信のマイレージ付与率の詳細は下記リンク参照
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/home/pop6040_fundmileage.html
で、どちらが得になるのか?
基本的には投資信託について楽天証券は買い付けに対するポイントが高く、SBI証券は保有に対するポイントが高いことがわかりました。
では早速比較したいのですが、SBI証券の投信マイレージに対する付与率は銘柄によって違いますし使用するクレジットカードによる差もあると思いますので、以下の条件で比較したいと思います。
- クレジットカードカードはノーマルカードとする
- 積み立ては「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」とする
- Vポイントは再投資するためにTポイント(またはpontaポイント)に変換しての比較とする
- 投資信託の金額は時間によって変化しないものとする
①については庶民と言う前提なので年会費が無料のカードにします。
②については投資している人なら知っているものにしました。似たような商品の付与率は
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) (以降e-SP500と表記) : 0.0374%
SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド (以降V-SP500と表記) :0.0242%
になり e-SP500 の方が高いです。しかし付与率が高いと信託報酬が高い傾向にあります。
③についてはアイエルは楽天証券で投資できる楽天ポイントをそのまま消費するのではなくて再投資したいと思っています。SBI証券も同様にしたいと思いますので、変換して投資すると仮定します。
④は価格変動が起きると単純に計算が大変なので今回価格変動無しにしました。
2021/12/29現在はSBI証券で投資信託の保有金額を増やしていくほど楽天証券よりポイントが沢山貰えるようになっています。
1.楽天証券で貰える投資信託の保有ポイント上回るには?
楽天証券では 投資信託の保有ポイント は最大2080ポイントでした。
SBI証券では保有時間で貰えるポイントが変わりますのでいつかは上回る日がきます。
e-SP500を100万円持ってた場合、年間で貰えるポイントは
1,000,000×0.000374=374ポイント
となり楽天証券を上回るには
2,080÷374≒約5.56年
になります。ちなみに楽天証券では100万円で貰えるポイントは180ポイントです。この場合は初年度で上回ります。
買い付けと保有両方で計算した場合
この場合、年間で貰えるポイントは
楽天証券(楽天カード):6,000楽天ポイント
SBI証券(三井住友NL):2,400Tポイント (ポイント変換後)
になります。
差は3,600ポイントになりますので1年間保有したポイントがこれを上回れば良いことになります。
計算すると
3,600÷ 0.000374=9,625,668
になりますので、毎月積立5万円+投信保有金額965万あればSBI証券にする方が良いことになります。
で、問題点が発生・・・
条件は大体わかりました。幸いなことにSBI証券は投信の移管手続き無料キャンペーンを恒久的に行うこと(楽天証券の改悪に合わせて)が発表されました。先程のSBI証券に移動させればよいのですが・・・
で以下の問題点が発生します。
既に保有しているつみたてNISA口座にある投資信託は移動させることができない
りそな銀行のつみたてNISAに関するQ&Aがありますので、こちらを見てください。
https://www.resonabank.co.jp/kojin/nisa/faq/faq_nisa_0025.html
この内容によると、つみたてNISAにある投資信託をそのまま他の証券会社に持っていくことができないとあります。
仮に楽天証券で2年間80万円を積み立てていたとします。つみたてNISAをSBI証券に変更する時は、80万円は楽天証券に残したまま運用して新たにSBI証券でクレカ積み立てを行うことになります。クレカ積み立ては月に33,333円掛かるので残りの16,667円分しか移動させることができません。勿論楽天証券のつみたてNISAを売却することはできますが、それでは20年の非課税運用の意味が無くなります。
一般NISAであれば投資信託ではないので話は変わります。しかし、年間120万円の枠があるNISAを運用しながら月5万円のクレカ積み立ての両立は、庶民としては厳しいと思います。
月に5万円以上を積み立てることができるのか?
アイエルの個人的な思いになりますが、資産運用としては「iDeCo(または企業型DC)」や「つみたてNISA(または一般NISA)」の次に行うものと考えています。どちらも税金面で優遇されているからです。保有する投資信託を動かせるようにこれらとは別に月5万円を積み立てるのは現実的ではないと思います。
極端な話をすれば、クレカ積み立てができる全ての証券会社に口座を開き最大限度まで入れれば選択をしなくて済みます。ある程度積み立てたら一番良い条件の口座に移管すればいいだけの話になりますが・・・
2021/12/29現在でクレカ積み立てができる証券会社は
- SBI証券と三井住友NLで0.5%のVポイント
- 楽天証券と楽天カードで1%の楽天ポイント
- 松井証券とMATSUI SEECURITIES CARDで0.5%の松井証券ポイント
- スマートカード(セゾンポケット)とセゾンカードで0.02%の永久不滅ポイント(6回毎にポイント付与)
- tsukimi証券とエポスカードで最大0.5%のエポスポイント(初年度0.1%で5年で0.5%)
- マネックス証券とマネックスカードで1%のマネックスポイント(2022年2月開始予定)
どのカードも月5万円が最大になっています。
楽天証券、松井証券、tsumiki証券、はポイントをそのまま1ポイント=1円として再投資することができます。マネックス証券は 1ポイント=1円 ですがマネックスポイントで直接投資信託を購入することはできないのでTポイントやpontaポイント等に変換してSBI証券かauカブコム証券で購入する必要があります。
永久不滅ポイントの付与については下記を参照ください
https://www.saison-pocket.com/point-program/
で、この6証券でクレカ積み立てをした場合。月30万円の入金力が必要になります。
これができる人は庶民ではありません・・・
投資信託保有に対するポイントはどこがあるのか?
投資信託の保有ポイントはSBI証券や楽天証券だけではありません。
e-SP500に対する付与率は
- SBI証券:0.0374%でTポイント(またはpontaポイント)
- マネックス証券:0.03%のマネックスポイント
- auカブコム証券:0.005%のpontaポイント
- 松井証券:0%
ちなみにV-SP500に対する付与率は
- SBI証券:0.0242%
- マネックス証券:0%
- auカブコム証券:0.005%
- 松井証券:0%
- 楽天証券(改悪前):0%
になるので保有する商品で付与率が変わります。この場合どれもSBI証券が一番良いことになりますが。松井証券は、販売会社が受け取る信託報酬率(税抜)は0.3%以下だとポイントは貰えません。信託報酬よりポイントを還元が高いと赤字になりますので、低コストインデックスファンドでは出せる余地は少ないです。
アイエルは低コストインデックスファンドで積み立てする場合は、この部分は貰えたらラッキー位と思った方が良いです。
ルールが変更される可能性がある
先に述べたようにクレカ積み立ては2018年に楽天証券で購入して保有することでポイントが貰える事とそのポイント還元率で大きなインパクトを与えました。SBI証券の三井住友NLのカード積み立ては2021年でマネックス証券は2022年に開始予定で他社が追従するのが困難な還元でした。しかし僅か3年程度で変更をせざるを得ない状況になってしまいました。他の証券会社も変更があっても不思議ではありませんし、NISAの制度自体もどうなっているかわかりません。
追記:楽天証券では低コストインデックスファンドは2022/9より変更になります。
で、現状の最適解は?
先程までの内容をおさらいすると以下になります
- 貰えるポイントはは「クレジットカードでの購入」と「投資信託保有」の2種類がある。
- クレカ積み立てでポイントは貰えるが毎月の限度額は5万円
- 限度額が5万なので最大値は決まっている
- 投資信託の保有で貰えるポイントの付与率は積み立てで貰えるポイントよりとても低い
- e-SP500で改悪前の楽天証券でのポイント還元をSBI証券で考えた場合、クレカ積み立て5万+965万円が必要
- 既につみたてNISAで保有している投資信託は移管できない
クレジットカードでの購入
貰えるポイントの単純な比較の上位は以下になります。
1位: SBI証券と三井住友プラチナプリファード
Vポイント2.0%→Tポイント(またはpontaポイント)1.6%
年会費が33,000円・・・
2位:楽天証券で楽天カード(種類問わず)
楽天ポイント1.0%
(2022/9より低コストインデックスファンドが0.2%になります)
年会費は0円(ノーマルタイプ)
3位:マネックス証券とマネックスカード
1%のマネックスポイント(2022年2月開始予定)
Tポイント等に変換してSBI証券等の他社で投資信託を購入する必要あり
使っていれば年会費0円
4位: SBI証券と三井住友NL(ゴールド)
Vポイント1.0%→Tポイント(またはpontaポイント)0.8%
年会費は5,500円するが年間100万円使う事で翌年度以降永年年会費無料
しかし投資信託の購入は対象外なのでショッピングで達成する必要あり
アイエルにはハードルが高いです・・・
5位: SBI証券と三井住友NL
Vポイント0.5%→Tポイント(またはpontaポイント)0.4%
年会費は0円
投資信託の保有
1位:SBI証券証券
楽天証券の改悪により1位に浮上。e-SP500だけでなくV-SP500もポイントが貰えるのが嬉しいところ。全体的に貰えるポイントは高く、 他の証券会社でクレカ積み立てを行い、まとまった額にしてからSBI証券の「投資信託移管入庫サービス」を使うのが一番よいです。
2位:マネックス証券
e-SP500にはポイントは貰えますが、V-SP500は貰えません。投信信託の手数料が低いと還元する原資が無いので仕方がないと思います。
3位:auカブコム証券
どちらも0.005%と一応貰えます。しかし現状クレカ積み立てができないのでSBI証券での保有に優位性があります。
e-SP500やV-SP500はともに低コストのインデックスファンドです。この場合、メインはクレカ積み立てで貰えるポイントが圧倒的に大きいので、それをメインにした方が良いです。
アイエルの結論(2021/12/29)
楽天証券またはマネックス証券(サービス開始後)でクレカ購入を行い、その後SBI証券に移管する。(ただし 「三井住友プラチナプリファード 」を保有している場合はSBI証券一択)になります。
まとめ
まとめると以下になります。
- 庶民には投資信託のクレカ積み立ての購入のポイントが保有ポイントに対して優位性が高い
- 低コストインデックスファンドは信託報酬が元々低いのでポイントを還元する余地が少ない
- つみたてNISAにある投資信託は他の証券会社に移管することはできない
- 税金を考えると「iDeCo(または企業型DC)」や「つみたてNISA(または一般NISA)」の方が優位性があり、それ以外の余剰資金で行う場合に移管を含めて考えた方が良い
- 将来は税制や証券会社の投資信託の制度が続くとは限らないので、その時に合わせて対応していくことが必要
口座維持手数料が掛からない証券会社を複数開設して用途に分けて運用するのはアリだと思います。ルールが何時どのように変わるか誰にもわからないので・・・
追記:2022/2/1に追加の改悪アナウンスがありました。eMAXIS Slim米国株式(S&P500)の積立ポイント2022/9より1%から0.2%にダウンする(ついでにマネーブリッジの改悪もあり)ことになりました。