単位の話1でアイエルは、「ジュール(J)」が重要と話しました。で、「オームの法則」に出てくる電気系御三家も重要で知らないで電気系エンジニアを名乗っている人は殆どいないと思います。
個人的な偏見もありますが、このあたりの話をさせて行きたいと思います。
電気系御三家とは?(勝手に言っています)
オームの法則って既に言ってしまっているので
- 電圧(V):記号はEを使う場合が多い
- 電流(A):記号はIを使う場合が多い
- 抵抗(Ω):記号はRを使う場合が多い
です。関係性は、
E=I×R
になります。基本的にこの3つは同時に覚えていると思いますが、アイエルが勝手に順位付けを行うと以下になると思っています。
電流≧電圧>抵抗
最初に目が行くのは当然・・・
殆どの電気系エンジニアの方は最初に「電圧」を思い浮かべると思います。
電圧が最も重要と考えるのは、以下の理由と考えています。
スペックで最初に気にするところ
トランジスタ、FET及びICは必ず「最大電圧」が記載されています。
それよりも高い電圧を掛けると壊れてしまいますので、使用できる電圧に合致するか確認する必要があります。
また、IC等は動作することができる「最低電圧」も記載されている場合が多いです。
計算でよく使う
回路計算でもよく使うのは
- 入力電圧と抵抗が決められていて、電流と出力電圧の計算
- 入力電圧と出力電圧が決められていて、電流と抵抗の計算
- 入力電流と電流が決められていて、出力電圧の条件を満たすための計算
あたりでしょうか。
基本的には入力するエネルギー源は壁側コンセント、電池やACアダプター等の「定電圧源」になります。
定電圧源は交流と直流とありますが理想的な定電圧源は供給電流は無限大になります。
実際は供給電流は有限なので、電源の能力に合うか計算が必要になります。
ではなぜそちらを選択しているのか?
アイエルが「電圧」ではなく「電流」と思っているのは以下の理由です。
国際単位系の1つだから
電圧、電流、抵抗の中で電流だけが国際単位に設定されています。
国際単位系(SI)は以下の10進数で表す7個の単位です。
- kg:キログラム
- m:メートル
- s:セカント(秒)
- A:アンペア(電流)
- K:ケルビン(絶対温度)
- mol:モル
- cd:カンデラ
です。昔は各国で単位がまちまちだったのを、国際的に長さをメートルで基準にして統一した内容です。
そして、それ以外の単位も10進法で世界標準で決められて行きました。
余談ですが、アイエルが学生だったときは「MKSA単位系」 の方が馴染みがありました。
エネルギーに繋がるから
もう一つはエネルギーに繋がるからだと考えています。
単位の話1でも述べましたが、基本は電圧が固定でエネルギーを供給して電気機器を動作させる場合がほとんどです。
そして、電気機器を構成する各電子部品を選択して回路を設計します。
この時に電流が計算できないと以下の問題が発生します。
回路に対して電源に余裕があるかわからない
定電圧源は電圧を一定にして電流を可変する電源です。出力できる電流には限界がありますので、回路の電流が大きすぎますと定電圧源の電圧を維持することができません。電源が供給できる電流に対して回路が消費する電流が適切であるかの計算ができる必要があります。
このパターンでは電流(A)または電圧込みで電力(W)の単位が用いられます。
電池持ちがわからない
乾電池やリチウムイオン電池等を使用場合はエネルギーが予めため込まれている状態から、回路にエネルギーを供給します。そして電池のエネルギーが無くなれば回路は動作できなくなります。
この場合、回路の電流が大きいほど、電池が持っているエネルギーが早く無くなって行きます。稼働時間がが短くなるので、頻繁に電池を交換する必要になります。
このパターンでは電力量(J)になりますが、リチウムイオン電池等の場合は(mA・h)で表記されます。
電池は定格電圧が決まっていますので、定格電圧にmA・hを掛けると電力量を求めることができます。
mA・h:1時間で電池から流し続けることができる電流値
例)定格電圧3.7Vで1000mA・hの電池の場合
3.7(V)×1000(mA・h)=3700mW・h=13,320(W・s)=13.32(kJ)
最後に・・・
御三家の中でアイエルは特に「電流」が重要と考えた理由が御理解いただければ幸いです。
電流は「電磁気学」に欠かせないパラメータでもあります。電圧については電気系エンジニアであればなじみ深いものですが、電流や電力になると意外と認識しない場合があります。このあたりについても取り上げていければと思います。