電気回路の話

単位の話3(設計する上で重要な単位)

前回及び前々回では電気系エンジニアでアイエルの独断と偏見で重要な単位をお話ししました。

今回は設計する上で必要不可欠な単位の話をしたいと思います。

世の中には色々な単位がありますが・・・

設計する上で私たちは色々な単位を使います。機械系エンジニアでは長さ(m)を始めとして重量(kg)がメインになりますし、電気系エンジニアでは前回紹介しました御三家が最初に思い浮かべると思います。

それで今回紹介する単位は?

この単位は商品を具体的にするためには欠かせないものです。もちろん長さや重量などパッと思いつくものではなく、且つ誰もがしっている単位です。

その単位は?・・・

「温度(℃またはK)」です。

「なーんだ」と言う人はいると思います。しかしこの単位はとても重要で、設計する時に最上位で考える場合が多いんです。以下にその重要性を説明します。

製品の動作条件を決める必要がある

電気製品は基本的にどのような環境で動作できるか決める必要があります。

例えば、室内環境で使うパソコンやテレビなどは動作温度は取扱説明書に5℃~35℃で規定されている場合があります。

逆に、室外環境で使う車やエアコンの室外機では環境が室内より厳しいため室内より動作温度が広いです。冬だとマイナス環境もありますし、夏だと40℃を超えることも珍しく無くなってきました。

「大は小を兼ねる」との格言はありますが、広い温度で動作する部品は狭い温度で動作する部品より高いので、製品の価格も上がってしまいます。価格が上がると価格優位性が無くなって行きますので、動作に対して最適な部品を選択する必要があります。

製品の性能にも影響をあたえる

外装は大きく分けると樹脂(プラスチック)と金属がありますが、特に樹脂の方は熱に気を付ける必要があります。

更に樹脂には「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」があります。特に熱可塑性樹脂は温度があがると柔らかくなる性質があるため、使用温度によっては選択できない場合があります。

製品のバラツキにも影響をあたえる

電子部品にも温度特性があり、大小はあれど性能に影響を与えます。

コイルであれば使用できる温度限界があり、コンデンサであれば容量変化があります。また、ツェナーダイオードであれば温度によってツェナー電圧が変わりやすい特徴があります。

この温度特性がバラツキに上乗せされますので、バラツキだけでギリギリの設計をしている場合には設計が成立しないことがあります。

比較的バラツキの少ない金属抵抗も温度特性はありますので、計算する場合はこれらを考慮して設計をする必要があります。

最後に・・・

設計をするときに 具現化する時に 「大きさ」や「重さ」は必要なので、意識的にしなくても考えていると思います。

しかし、「温度」については具体的に意識しなければ常温(大体25℃あたり)で考えてしまいます。

ベテランのエンジニアは、最初から色々な事を考えて問題が発生しにくいように予め設計しています(もちろん失敗する場合もありますが)。

アイエルは始めは温度まで考えることができていませんでした。先輩に指摘されて計算しなおしたところ、見事にスペックから外れていて冷や汗をかいたことがあります。ですので、このブログを見て頂いた人には設計する場合は「温度」に関しても意識的に目を向けて頂ければと思います。